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Cataphora

これまでのこと、これからのこと

舟を編む

https://www.amazon.co.jp/dp/B00E8F42HK

馬締(松田龍平)という、名前通りの「真面目」な人間が、歳月をかけて辞書を造りあげる上での人生を描いた物語です。

馬締は対人に置いて不器用だ。それはコミュニケーションが得意ではないということだが、性格からなのか、又は自分の意思が相手にどうせ伝わらないなどと考えてそうなっていったのかもしれないが、、どうも自分と似ていると思った。そうみられたいからとかではなく、真面目ではないだろうが、不器用ではあると思う。
それに人に何かを伝えるのはへたくそだ。
「あるある・・・!」って共感しながら見てしまいました。

しかし、馬締は真面目ゆえに努力家である。
営業から辞書編纂部へ配属となった彼は、環境が変わってから少しづつ「動く」ようになっていきます。

言葉は生まれ、死んでいく。生きている間に変わっていくものもある 
言葉の意味を知るとは誰かの事を正確に知りたい、そして人と繋がりたい
という願望があるからだ。 
今を生きている人たちに向けて辞書を作らなければならない

これはこの作品の中に登場する「大渡海」という辞書のコンセプトとして挙げられていたものだが、馬締もきっとこの言葉に感化されていたんだろうと感じます。

恋文のエピソードなんかも、動きのひとつでした。
時代背景は1995年だが、「恋文」。映像で見ないと分からないが、それはこんな形式の手紙、戦国時代かよ(笑)といったような達筆かも分からない、そもそも読めないラブレター。
そして「読んでください」と渡しては、後日「こんなの読めるわけないじゃないっ!」と、キレられてしまうシーンは笑いなしには見てられない。かぐやさん役の宮崎あおい、迫真すぎた(笑)
それでも手紙じゃなくて、言葉で聞きたいだなんて、素敵でした。

ところで、言葉を扱う作品でありながら、映像として作ることができたのには、映画で見た辞書を造る過程と似ていて、洗練されつつも増やしていくようなものだと感じます。
「初めに言葉ありき」とも言うよう、「言葉」自体はコミュニケーションをとるための大事なツールです。これほど重要なものは他には無いと素直に思います。
ただ、言葉の用例採集の束が浮いた海に、馬締が溺れ、潜っていたように、言葉というのは触れたり感化していくたびに、与える、又は貰う影響というのはとても大きいというのを改めて感じました。だからこそ溺れないように言葉の舟を「編む」のでしょう。

人の「成し遂げる」という思いは、本気になればどれだけ時間がかかってもかまわないということ、今を生きる素晴らしさを馬締から学びました。
作中では15年の歳月が掛かっています。
若いうちに一生の仕事を見つけれただけでも凄いですし、何かに実直に努力しないといけないなと、最近を思い返して反省しています。

冒頭の方、馬締に自己投影をしてしまいましたが、分からないから興味を持つ、分からないから話をすると言ったように、もっと言葉を使わないとダメだな、喋らないとな~と感じます。

それは、言葉について知りたい、感じたい、使いたいという風に意識が進み、
やがて、人との繋がりになると思っている、又は信じているからです。
私自身もそうしたことを望んでいるんだなと気づかされました。
素敵な言葉を使える人間になりたいと切実に感じます。


良いメッセージが詰められた映画でした。